【 こんな症例が治ります シリーズ 212 】 重症の子宮蓄膿症 も 的確な診断と治療で治します。

 

 

 

 

参照サイト:

https://goo.gl/ZxZsPR

 

 

 

犬 1歳2カ月の未避妊メスのスピッツです。

 

【 昨日から血混じりのオリモノがでていて、吐き気もある 】とのことで来院されました。

 

■ まだ不妊手術をされていないワンちゃんでしたので、発情歴をお伺いすると、半年前に初めての発情出血がありましたが、その2カ月後に再び出血が3週間ほどあったそうです。

 

■ 子宮の病気、膀胱炎などを疑い検査を行っていたところ、レントゲン、超音波検査で子宮が大きくなっていることが判明しました。

血液検査でも白血球数の上昇(39,000/μl)がみられ、子宮蓄膿症が疑われました。

 

■ 緊急に、卵巣・子宮全摘出術を行いました。 子宮は膿汁を貯留していて全体が腫大していました。 念の為に病理検査を行ったところ、悪性腫瘍は否定されました。

 

■ 術後3日間の点滴治療で白血球も徐々に下がってきて、元気も食欲も問題なく過ごされています。

 

■ 子宮蓄膿症は高齢の未避妊犬で発症することが多いのですが、今回は1歳という若いワンちゃんでも見られました。

 

★ 子宮蓄膿症のようなひどい感染症は発見が遅れると、手術をしても一般状態が悪化し死に至ることもあります。

 

★ 特に、子宮蓄膿症は毒素が体中に回って、色々な悪影響が出るのですが、一番怖い病気が【 体中の血液が固まってしまい、逆に出血が起こると血が止まらないDIC 】です。

 

★ 当院では、DIC診断の為に、院内で緊急時にも10分で計測できる【 FDP・D-ダイマーなどの測定器 】を10月に導入致しました。 この機種の導入は、神奈川県では初だそうです。

 

★ 当院は、重症な子の診療が多いので、毎日のように大活躍している検査機器になると期待しています。

 

■ もう一つ勘違いしやすい事として、子宮蓄膿症は【オリモノが出ないタイプ】が存在しており、これを見逃している事が多いのです。 このタイプは、重症化しやすいです。 さらに、子宮粘液症という、レントゲン画像が類似している病気もあります。 いずれも、お薬での治療は避けた方がよろしいと思います。 外科手術が一番的確です。

 

■ 早期発見も大切ですが、生後6ヵ月くらいの時期に早めの不妊手術をして予防されることをお勧めします。

 

獣医師 新井澄枝

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