【 こんな症例が治ります シリーズ 169 】 犬の急性膵炎 も的確に治療します。

赤い部分が、炎症を起こしている膵臓です。 黄色の部分が、正常な膵臓です。

参照サイト :

http://doggysmalltalk.com/pancreatitis-in-dogs/

 

イヌ 6歳 メス(不妊手術実施済み) です。

 

【 2日前から嘔吐と下痢を繰り返し、食欲もない 】とのことで来院されたワンちゃんです。

 

■ 来院時は、元気がなく腰を丸めていて、お腹が痛そうな様子が見られました。

 

■ そこで、血液検査とレントゲン検査・ウンチの検査をさせて頂いたところ、血液検査で膵臓系と肝臓・胆道系の項目が上昇しており、レントゲン検査では上腹部(胃や肝臓の周囲)が白っぽくなっていました。

 

■ お腹を痛がる様子からしても、上腹部に炎症が起こっている可能性が高いと考え、超音波検査もさせて頂きました。 胃の周りの脂肪に炎症が起きており、軽い腹膜炎(お腹の中の炎症)をおこしているようでした。 また、正常な子では、超音波検査であまりはっきり見えない膵臓がはっきりと見えました。

 

■ これらの状況から【急性膵炎】の可能性が高いと判断し、急性膵炎の診断に有用な【膵特異的リパーゼ(c-PL)という特殊血液検査】をさせて頂いたところ、その値が非常に高いことがわかりました。

 

■ 幸いにも来院が早かったため、入院していただき、低脂肪食を食べて頂きながら点滴液を静脈点滴でカラダの中に入れ、複数の内服薬を使用し治療したところ、数日で状態が安定しお家に帰ることができました。

 

■ 急性膵炎は緊急疾患で、中には腹膜炎から全身のショック((血圧低下により末梢循環が著しく障害され、その結果、末梢組織の代謝が 損われた状態))につながり、亡くなってしまう子もいます。 原因は様々で、体質的なものから、脂質の多い食事やお菓子の食べ過ぎ、お薬の副作用等で発症することもあります。

 

■ 治療に際して、膵炎には特効薬と呼べるようなお薬がなく、通常は低脂肪食と点滴をしながらの【対症療法】がメインになります。 しかし、当院では【ホモトキシコロジー】という【ドイツの自然療法薬】のうち、膵炎に有効な治療薬をストックしておりますので、状況に応じてこれらのお薬を併用し、より効果的に膵炎の治療を行うことができると思います。

 

■ 膵炎を繰り返す【慢性膵炎】に移行したり、【糖尿病】や【膵外分泌不全】といったほかの病気に移行していくこともありますので、【嘔吐と腹痛】が見られた際は早めに病院までご相談ください。

 

獣医師 齋藤隆太

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